臨床美術・彩球

自分を表現することが大事

絵の上手さではない心に響くアート

臨床美術とは、五感を使って感じたことを表現するアートのこと。副代表の金子宗子さんは、「上手い下手じゃなくて、今感じたことを表現するのが大事なんです」といいます。

臨床美術・彩球は、2012年に発足。金子さんは、もともと幼稚園の先生をしていましたが、臨床美術に興味を持ち、2007年に臨床美術士に。埼玉に移住したころ特定非営利活動法人日本臨床美術協会が設立され、臨床美術士が少しずつ増えてきた時期に、臨床美術士の守屋球子さんと出会い、「臨床美術・彩球」の設立に至りました。

各地で活躍する臨床美術士

同会に所属する臨床美術士は現在30人ほど。市内の高齢者施設や小学校のチャレンジスクール、保育園、障がいのある方の施設、絵画教室などで教室を開くほか、イベントにも参加。中浦和にある「アトリエ彩球」で小学生から高齢者までの「アート塾」も行っています。

臨床美術士のみなさんは、どこの現場でも、①本物を見て感じてもらう導入、②制作、③鑑賞をセットにして活動しています。絵を描く意識を変え、できることを認め合い、自己表現を促していくことで、楽しんで自分の気持ちを出せるようになるといいます。

「一緒に描いているうちにその人の良さ、その人らしいところを見つけて言葉で共有すると、描いた人は嬉しくて、ほかの人も褒めようという意識になります。このいい循環ができると嬉しいし楽しいんです」と金子さん。

臨床美術の確立者が身近にいて

臨床美術は、金子さんの親戚にあたる金子健二氏(彫刻家)が1996年に実践研究をスタートさせたのが始まり。中浦和で40年ほど造形教室・アート教室を主宰する中で、アートによって認知症の症状が改善したり、気落ちした人が落ち着いたりといった成果を上げてきました。当初は「アートセラピー」といっていましたが、「現場で参加者に関わる」という意味の<臨床>を付けて、「臨床美術」という名前になりました。

現在、認知症の改善・予防、発達が気になる子どものケア、小学校の「総合的な学習の時間」の授業、社会人向けメンタルヘルスなど、多方面で取り入れられています。

エコ・フェスタで活動に広がり

桜エコ・フェスタに臨床美術・彩球が初めて参加したのは、2016年。2018年には、クオ・ヴァディスの糸をコラージュに取り込んでみたり、2019年は、3つの団体とコラボしてビオトープの看板に付ける作品を作ったりと、いろいろな団体とつながってフェスタを盛り上げ、楽しんでいます。

彩り豊かな「彩(さい)」と、臨床美術を地球規模に広げて大きく包み込むという思いを込めて「球(たま)」。<アート>という軸で大人も子どもも障がい者も誰とでも関わりながら、たくさんの人の力になっています。

臨床美術・彩球

住所 : 〒338-0012 さいたま市中央区大戸1-1-2
HP : http://rinbisaitama.jpn.org/
E-mail : info☆rinbi.sakura.ne.jp
※☆を@に変えてください。