特定非営利活動法人
エコ.エコ

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見沼田んぼに集まれ!

「自然に気づいて」を活動に

自然に関心があっても知らないことが多くあります。十数年にわたり見沼でカエルや植物の調査を続けている方から「在来のカエルが減少している」と知らされ、「緑のトラスト保全第1号地」(見沼田圃周辺斜面林)の西側に生息するカエルを保護しようと2012年12月に特定非営利活動法人(NPO)を設立しました。

「自然保護と農業をつなげて考えることは、首都圏に隣接している見沼田んぼでは大きな意味を持っています。ヒトの暮らしに近い場所に生物多様性の保たれる空間があることを知り、気づき、守ることは、より良い未来につながる一つの道だと考えています」と副代表理事の加倉井範子さん。

みんなが「どっと」押し寄せてほしい

「エコ.エコ」の「エコ」と「エコ」の間の「.(ドット)」は、人や物が「どっと」押し寄せ、集まってほしいから。桜エコ・フェスタでは、毎回、松ぼっくりや他の木の実など自然の素材でカード立てなどを作るワークショップを開催。初回の2015年から参加しています。

加倉井さんは「木の実を使うことで、散歩をするときに、こんな木の実もあるんだと気づいてほしいですね」と言います。

会員の幅を広げて

エコ.エコは現在、正会員33人(保全会員11人、家族会員14人、その他の会員8人)。保全会員は設立時には50~60代でしたが、現在は70代になった方もいて、高齢化が今後の課題です。家族会員は、家族で自然の思い出を持ち帰ってほしいと、中学生以下の子どものいる家族が対象です。準会員の中には保全に参加してくれるメンバーもいます。賛助会員は活動資金の支援をしてくれています。

第2木曜、第3金曜に行う保全活動では、「水路にニホンアカガエルの卵があったよ」「カヤネズミの巣があったよ」と話したり、生きものの気配を感じたりしながら作業するのが楽しみのひとつです。生物多様性のシンボルとして龍をヨシで作っています。(現在は8代目)。

2022年3月には「さいたま市緑区南部領辻(通称)見沼ベルダ地区の昆虫・クモ・カタツムリ調査結果」の冊子を発行しました。

講座やイベントも豊富。クモの観察会では、田んぼや畑にいるクモが害虫を食べてくれる話をします。農薬をまくと皮膚の薄いクモは死んでしまいますが、しばらくすると薬剤耐性ができた害虫が増えてしまうこと、クモがいることで生態系が守られていることなどを、観察会を通して伝えています。

観察会に参加してくれた子どもに「君ならできるよ」と声を掛けると、子どもの目はすごいので、小さな虫や生きものを発見してくれます。自然を親子で体験し、自然の中のつながりに一緒に気づいてもらえたらうれしいですと、加倉井さんは話します。

活動を円滑に行うために

「緑のトラスト保全地」は県の所有ですが、斜面林や畑などは地主さんのもの。活動以外にも、行政への書類提出や地主さんへの挨拶は欠かせません。この場所が公有地化されれば、保全のみにエネルギーを使うことができます。

また、見沼田んぼの湿地が減り、カエルの棲家(すみか)も減ってきていることや、アライグマ、カミツキガメ、アカミミガメなどの外来種が増えて、ニホンアカガエルなどの卵が減ってきていること、野生のクズが伸び放題になって生態系のバランスが崩れていることなども気になるそうです。

「外来種と呼ばれる生きものが悪いのではなく、悪いのは人間。アメリカザリガニは、令和5年6月に条件付特定外来生物に指定されました。販売や購入、生きた個体を野外に離すことが法律で禁止されました。アメリカザリガニを通して自然を好きになった子どももいると思います。学びの多い生きものを責任をもって最後まで面倒を見ることは、人として大切なことですね」と加倉井さん。

保全している土地の公有地化を目指す一つの布石として冊子「さいたま市緑区南部領辻(通称)見沼ベルダ地区(マルコ・福々の森・トラスト1号地)と上野田斜面林植物調査結果」 をまとめました。また、新たに「昆虫・クモ・カタツムリ」の冊子も作成しました。

<名称解説>
*マルコ:エスペラント語で湿地の意味。面積約1ヘクタール
*ベルダ:エスペラント語で緑の意味。南部領は、見沼田んぼの斜面林の中で緑の多い場所。
*福々の森:1ヘクタールにも満たない小さい面積ながら、希少な植物がある森。 トラスト1号地:埼玉県初のトラスト第1号地。面積約1ヘクタール。

特定非営利活動法人エコ.エコ

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