中原堂を保存する会

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三室に残る母子観音様

江戸時代から続く地域の拠り所

中原堂は、見沼区三室(みむろ)の地で江戸時代から名主を勤めた武笠家の持仏堂です。新秩父三十四ヶ所観世音十番の札所として約400年前から存在し、ご本尊の白衣観世音菩薩は安産・子育ての母子観音で、地域の守り尊として親しまれてきました。

そのお堂を後世に伝えようと、武笠家の当主・武笠昇さんを代表に、中原堂を保存する会が2020年に発足しました。

会では、年に4回のマルシェを開くほか、春のお彼岸に一日だけのミニ御開帳を行い、御朱印を用意して参拝の方をお迎えしています。また、中原堂ゆかりの人物や歴史を学ぶ講座や、イラストレーターである武笠さんを囲んでの水彩画教室なども開催しています。

多彩な品がそろうマルシェ

中原堂のマルシェでは、お地蔵さんが並ぶ参道に、近郊の農園から届く新鮮野菜や手作りのパン、お菓子、雑貨などが並び、朝からとても賑やか。地域の人が気軽に立ち寄って、おしゃべりしながら買い物を楽しんだり、お参りをしたりして、終日賑わいます。

代表の武笠さんたちメンバーは、会の発足前から、人が集まる場にしたい、地域の文化を守りたいと考えてきた中でマルシェを軌道に乗せ、ようやくここまできた、と感じるそうです。

歴史あるお堂を守るために

武笠さんによると、ご本尊の白衣観世音菩薩は400年ほど前に造られた木造彫刻で、昭和20~30年代に修復され、美しく金箔が施されています。また、中原堂建立の由来は残っていませんが、一説には、近隣で処罰された罪人の霊を祀る霊場として建てられたということです。

中原堂は、観音様が造られてから170年ほど後、天明の大飢饉が発生し、全国で災害が多発した天明6(1786)年に、見沼周辺の寺院や仏堂が新秩父三十四ヶ所観世音霊場となることに伴い、十番札所として発足したと伝えられています。

かつての賑やかさを伝えたい

中原堂では、12年に一度、午(うま)年の春の彼岸に御開帳を行います。敷地の入口に観音様のご眷属(けんぞく)である馬を型どった門が置かれ、参詣者はその下をくぐり、仏心本来の帰依心を願ってお堂に向かいます。また、お堂の前には回向柱(えこうばしら)を建て、柱と観音様の御手につなげた五色の紐に触れると功徳が得られるとされています。

かつての巡礼の賑やかさは薄らぎましたが、中原堂では地域の拠り所として、新しい交流を模索しています。

中原堂を保存する会

住所 : 〒336-0911 さいたま市緑区三室200
Tel / Fax : 048-873-2970
HP : https://www.byakuekannon-nakabaradou.com/
E-mail : nakabarado☆gmail.com
※☆を@に変えてください。